2010年11月14日

集合写真

どうして素直に想いを伝えられないんだろう。
これがお互いにだと状況は遅々として前に進まない。

ゼミの合宿も後半になろうとしていた。ゼミ仲間の彼ともう少し近くなれるかなと思いつつ・・・結局、何も変わらなそうな気配濃厚。そんなものなのかなと思う一方、やっぱりそんな自分がもどかしい。

いつもと変わらない気さくな笑顔がすぐ側にある。
ただの友達でいられたらもっと楽には違いないけど、もうそんな気持ちは随分前の話。
どきどきするとかいうんじゃなくて・・・どう感じたらいいのか判らないでいることがもどかしい。
彼はそう感じてくれてはいないのだろうか・・・。

ゼミ全体で記念写真を撮る。屋外の雛壇に総勢30名ぐらいがぞろぞろと集まってくる。私と彼もその中にいた。
“隣に並んで撮りたいなぁ”と思う。
彼は側にいてくれる。
ちょっとどきどきしてきた。
が、物事はそう巧くは運ばないもので・・・雛壇に人がごったがえしてきた。そのばたばたのうちに、あっという間に彼が列からはみ出て最前列に降りてしまった。
“あ・・・”慌てて探したら、こっちを見上げた彼と目が合った。
“こっちにおいでよ”
彼は目でそう言った?違うかな?
彼の隣はまだ空いている。意を決して一歩踏み出した。
と同時に彼の隣に他の子たちが陣取ってしまった・・・。

一歩踏み出した足は止められなかった。整然と並び揃いつつあった集団から私は抜け出していた。雛壇に背を向けて歩き出していた。後ろでわいわいと撮影が始まったみたいだった。
だいぶ歩いた。かなり離れたと思う頃立ち止まって振り向いた。

彼がこっちに走ってくるのが見えた。
私の前に来て息を切らして立ち止まる。
なんか・・・怒ってるみたいだ。

「何やってんの?」
「いや・・・その・・・隣に並んで写れないならいなくてもいいやと思って」
咄嗟に答えていた。嘘じゃないと思う。言った後、ホントにそうだなと思った。
息を切らしていた彼の吐息が一瞬止まった。
次の瞬間、彼にキスされていた。

びっくりした・・・けど嬉しかった。
走って追いかけてきてくれたことも何もかも。


「後で二人で一緒の写真撮ろうよ」
「うん、そうだね」
思いがけなく前に進めた。
後にはたくさんのゼミ合宿写真が残った。
いつもと変わらない気さくな笑顔が私の隣に並んでいる。
彼が見せたがらなかった集合写真には、整然と並んだ雛壇の最前列で後ろを気にしてきょろきょろしている彼が写っていた。


posted by めかぶ at 15:01| Comment(0) | その他、雑文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月31日

笑顔の背中


長距離走は苦手じゃない。
早く走れはしないけど、自分のペースで完走することは出来る。
苦手じゃないけど、好きなわけでもない・・・けど、
彼が走る10メートル以上後ろをついて走っている。
このままだと、どんどん引き離されるなと思うけど、ゴールは一緒だから、好きに走ってくれればいい。

ゆるいカーブで彼の姿が見えなくなった。
ちょっと焦った。
急がなきゃ・・・。

グランドに着いた頃にはピッチを上げたせいで息が切れていた。
失敗。
あと1周あるけど、もう無理だ。
肺がこれ以上空気を吸い込んでくれなくなった。
タオルの上にバッタリ倒れこんで肺が元に戻るのを待つ。
自分の呼吸音しか聞こえない。

ばふっ。

頭をどつかれて、自分の顔がタオルにめり込んだ。
顔を上げると、目の前に彼の満面の笑みがあった。

「あと1周あるじゃん。一緒に走ろうよ」

先に行ってくれと切れ切れに答えた。

「自分のペース崩すからー」

彼が再び走り出す。
後姿に声にならない声を掛ける。

わかってる。
でも、見えなくなっちゃうの嫌だったんだもん。

後姿なのに、彼は笑顔なんだろうなと思う。
その笑顔を見失いたくなくて、後姿でも見えるところにいたいのかな・・・。

posted by めかぶ at 22:35| Comment(0) | その他、雑文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月30日

北風とたいよう

彼を迎えに行く。
待ち遠しかったような、そうでもないような。
よくわからないままバス停に向かう。

肌寒い冬の日。
北風に煽られながら一歩一歩進む度に、胃の辺りを掴まれる様な感じがする。
吹き込む風を防ぐために襟元をギュッと握り締めた。
バス停には時間前に着いた。
見上げると寒空は今にも雪が降り出しそうな重い色。
急に吹き上げる強い風に、慌てて体を返して縮こまる。
コートごと掻き抱いて風が通り過ぎるのを待った。

風が止むのと同時に日差しの温もりを感じる。
突然、クラクションの音がして、振り返ると、発車したバスが目の前を走り去った。
バスの後部を目で追い、見送って、視線をバス停に戻すと・・・彼が居た。
厚手のコートに包まれた大きな人。
熊みたいなひげ面がにっこり笑いかける。

「寒いね」
「うん」
「来たよ」
「うん」

日差しより彼の笑い顔のほうが温かそうな。
しばらくじっとその顔を見てしまう。
彼もにこにこして私を見る。
再び彼が口を開いた。

「僕ら、結婚するんだよね?」

また私は答えた。

「うん」



Fin.
posted by めかぶ at 23:42| Comment(0) | その他、雑文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月03日

帰り道

長い1日が終わった。
思うようにことが運ばない。
そんな日もある。
今日はそんな日。
彼女は疲れきって会社を出た。
ふらりとワインバーに立ち寄り、キリリと冷えた白ワインを1杯飲んで外に出た。
夏ももう終わり。
日が落ちると風が涼しい。
蒸し暑さもなくなった。
ひと仕事終えて少し肩の力が抜けた。
少し歩いてみようか。
いつもの地下鉄の3駅分、地上を歩いてみる。
少しだけ先程のワインの香りが鼻を抜けた。

今日も一人で飲んじゃったな。

ふと、瞬間、淋しくなった。
季節のせいかな?

あなたに逢いたいよ。

胸の奥がきゅうっとなった。
やっぱり季節のせいだ。

そう自分に言い聞かせてiPodのボリュームを上げた。
もう少しで地下鉄の入り口が見えてくる。
夜風に吹かれて彼女は顔を上げた。

posted by めかぶ at 00:06| Comment(0) | その他、雑文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月07日

背中

目を開けると、目の前に広い背中。
寝息に合わせて軽く上下する。
手を伸ばして触れたい。
腕を回して寄り添いたい。

でも、できない。

例えば、そうしたとしても、露骨に拒否はしないと思う。
うるさく振り払ったりはしないと思う。
でも、もしかして、もしかしたら?

やっぱり、そこまでしなくても、
でも、ビクッとされたら?
内心、ギクリとされたら?

それが怖い。
嫌がられたらと思うと、この手を伸ばせない。
30センチにも満たないこの距離が、こんなにも遠い。

目の前の背中が、なんだか苦手。


posted by めかぶ at 23:20| Comment(0) | その他、雑文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月05日

好きな人いますか?

いますとも。
いつでもね。

愛されてますか?

それはどうかな?

自分から好きになるタイプじゃないんでしょ?

あ、そうだった。

じゃあ、愛されてたんじゃん?

そうかな・・・いやいや、気の迷いかもよ。

それでも好きなの?

・・・好きだな、うん。
まだね。

いつまで?

そんなの知るか。
いいじゃん、いつまでだって。
そのうち冷めるかもしらんし。
別の人に愛されるかもしらん。
で、その人が好きになるかも。


先のことなんてわからんのだ。

posted by めかぶ at 22:24| Comment(0) | その他、雑文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月15日

夢物語

すっごく、すっごくご無沙汰しておりました。
なんとなく捨てずに置いて、きまぐれに書いてみました。

よくリアルな夢を見ます。
憶えている時はかなり克明に憶えています。
面白いシチュエーションがままあるので、それを題材にして書いてみようかと思い立ちました。
何しろ夢ですから突拍子のないものになることもある気がします。
そのままでは話にならないこともあるのでいろいろ肉付けすることになるでしょうが。

あとは目覚めた時にどれだけ憶えているかに係っています。
相変わらず更新は不定期としか言いようがないですね。
何しろ夢が頼りですから。

と言い訳してみたりする・・・。
posted by めかぶ at 09:30| Comment(0) | はじめに | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

無題

忘年会。
その年フリーになった彼女はいつになく弾けていた。
酔いに任せて我を忘れいつしか泥酔。
周りにどう思われようと知ったことではない。
いい具合に酔ってきたところで「暑〜い!」と言って脱ぎだしていつしか半裸状態。

何か鬱屈した状態から解放されたのか、なんなのか。
彼がいたからできなかったこと、我慢したことの多かったこと。
別に脱ぐのが好きだったというわけじゃなくて・・・。

どんな事をしても後ろめたい気分になることもなく、後で不機嫌な顔を見ることもなく、ましてや怒りをぶちまけられることもなく。
何も気にしないでやりたいことをやればいいと言われればそうかもしれない。うまくかわすコツもあったかもしれない。面倒なことになりそうな事は知られずに計画することもできたかもしれない。
嘘も方便だったかもしれない。
でも、自分に嘘がつけない。
嘘が下手な不器用な性格にはできる業じゃなかった。
後ろめたくて、時計が気になって・・・。

今のあられもない姿で弾ける彼女をせき止めるものは何もない。
ただそれだけ。

そんなときに限って、なぜ?
彼女だけじゃなく誰もが大騒ぎの大宴会真っ最中の部屋に彼は現れた。
二人は互いに姿を認めた。
熱気と喧騒の渦巻く部屋で二人のいるところだけ温度が下がった。
彼女は手当たり次第、そこにあったコートを羽織ろうとしたが、そこにいた友人は面白がって彼女からコートを取り上げた。
自分の姿を隠しとおせないことは彼女にも判っている。
何とか別のコートを身体に張り付けて後ろを向き、彼の視線を避けた。

その直前に見せた彼の表情は、わずかに嫌悪を浮かべてはいるものの無表情に近かった。冷たい視線。それは自分にとって好ましくなく、なおかつ・・・それが自分に関係ないものを見たときの視線。

後ろを向いた彼女の悲痛な表情。
この差は何なのだろう。
何故彼女だけが辛くなるのだろう。
これも彼女の性格か。
これが破綻した二人の間にあった“関係”なのか。

人によっては、終わった後もその時にあったものは無くならないで、いつまでも残っているのかもしれない。
posted by めかぶ at 09:19| Comment(0) | その他、雑文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月08日

おしらせ〜

暑いですね〜え。
脳が停滞気味です。
だからって理由なだけでもないのですが、更新停滞中です。
少々プライベートで立て込んでおります。
ネタは浮かんでないこともないのですが、
無理矢理形にしても満足のできるものに仕上がりそうにないので。

落ち着いたらまたお逢いしましょう。
posted by めかぶ at 08:33| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月01日

誰が誰を?

「諦めも肝心」本編

タイミング的に月1回の更新となってますが、すみません。
突発的にしか浮かんでこないので。
メインではありませんが今回も新キャラ登場です。
宣言どおりイケメンじゃない男性社員を出してみました。
でも仕事は出来そうです。
「わたしのしあわせ」の続編的なお話です。
「わたしのしあわせ」は私にしては珍しく苦い話になったのですが、ちょっと含みを持たせてしまいました。が、先のことは考えてません。
・・・今はね。
で、そこから派生した一篇。イケメンエリートの森田に想いを寄せる女の子が何人かはいるでしょうからね。
今回の『中野みのり』は「暴走するチューリップ」に登場している真奈美の友達です。彼女の話も書いてあげたいとずっと思っていたのですが、今回の話は偶然の産物です。
みのりは果たして皆さんに受け入れてもらえるでしょうか。ちょっとどきどき。
posted by めかぶ at 22:21| Comment(2) | 本編/わたしのしあわせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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